JLPT N2 Reading Practice – Test 30
Practice reading and understanding Japanese N2.
「実は、〇〇と 関係があるのですよ。それに思いついてできたのです」どうしても解けないでいた問題を先に解いた人から言われ、それだったら、自分のほうが経験が豊富だ し、知識があるし、「俺にもできたはずなのに……」と悔しい思いをうることがある。アイデアにしても、「このぐらいのアイデアだったら、自分の考えついて もおかしくないのに」と思うことは結構、多いものである。
記憶力には、覚える力と引き出す力の二つがある。いくら覚えても、それを引き出せなければ役に立たない。しかし、覚えていないものは引き出しようがない。つまり、その両方を鍛えないと、記憶力は生きてこないのである。
(中略)
コンピュータは一人の人が覚えきれない、そもそも普通なら出会うこともない膨大な情報を記憶しており、われわれはそれを検索エンジンによって、検索引き出 せる。しかし、人がある問題解決をしている時は、そうしてコンピュータから引き出した知識が、短期間にせよ自分の頭の中に、それまでもっていた知識ととも に記憶構成されなければ役に立たない。
コンピュータがいくら豊富な知識を内臓(注1)していても、人間自身がそうして検索した知識を、覚え、関連づけ、再び引き出すという訓練をしていなければ、宝のもし腐れ(注2)である。では、どうしたら、そういう関連して引き出せる記憶とすることができるか?
記憶力を鍛えるいろいろな本が書かれているが、残念ながら、私には特効薬があるとは思えない。
が、まず、覚えるときに、理解して覚えることである。理解して覚えたことは正しく出てくる。例えば、問題を解く時でも、「あ、これは昨年解いた問題と似て た問題だ」と気がついてすらすら解けることがある。しかし、昨年解いた問題をしっかりと理解していないと、関係がわからないために脳の中で連結(注3)することができないのだ。うろ覚え(注4)ではどこかに穴ができて、あとで活用することができない。
つきに、どんなことを読んだり聞いたりしても、自分の知っていること、経験したこととの関連を思い浮かべることだ。いつも、「もしそうなら」とその役立ち方について想像を膨らませながら新しい知識を覚えることである。それが知識への感受性(注5)をたかめる。
記憶をアイデアや創造という問題解決に生かすためには、一つ一つを覚えるときに、「わかった」と「もしそうなら」からスタートすることであろうか。
(注1) 内蔵
(注2) 宝のもち腐
(注3) 連結
(注4) うろ覚え:はっきりと覚えていないこと
(注5) 感受性
問1: 筆者は「俺にも出来たはずなのに……」と述べているが、出来なかった理由をどのように考えているか。
1. 自分が記憶した方法がその問題の解決に合うものではなかったから
2. 自分の今までの経験や知識をその問題を関連づけられなかったから
3. 自分の方が経験や知識があると思っていたが実際はそうではなかったから
4. 自分では記憶したつもりでいたことが情報として蓄積されていなかったから
問2: 筆者はコンピュータの例を挙げて何を言おうとしているのか。
1. 人間は一人一人が持つ情報量はコンピュータの情報量を到底超えることができない。
2. 人間は一人一人が持つ記憶力は情報量の豊富なコンピュータを利用することでさらに生かせる。
3. 人間は問題を解決する過程は、コンピュータが膨大なデータから必要な情報を引き出す過程と同じだ。
4. 人間は問題を解決するにはコンピュータのように知識や情報を持っているだけでは不十分である。
問3: 筆者は記憶力を鍛えるにはどうすればよいと述べているか。
1. 新しい知識を理解して覚え、自分が知っていることと関連される。
2. 自分がこれまでに経験したことや膨大な情報をしっかり理解する。
3. 新しい問題を繰り返し解いて、自分の理解を確認しながら定義される。
4. 自分が考えついたアイデアを理解として覚え、必要なときに引き出す。
Answers:
問1: 4. 自分では記憶したつもりでいたことが情報として蓄積されていなかったから
問2: 4. 人間は問題を解決するにはコンピュータのように知識や情報を持っているだけでは不十分である。
問3: 1. 新しい知識を理解して覚え、自分が知っていることと関連される。